呼吸器科について

【呼吸器科】ガス交換

2021年10月4日

このガス交換の概念は、アセスメントをするうえで非常に重要な要素です。

特に人工呼吸器を使用するような部署の人は絶対に理解しておく必要があります。

おすすめとしては下のDr.竜馬先生の著書が非常にわかりやすいので参考にしてみてはいかがでしょうか?

ばらもん

肺胞レベルでのガス交換の話

口から酸素を取り込んで、その酸素を肺に届けます。

肺に届いた酸素は、肺胞で隣にある血管にのって体の隅々まで運ばれる

肺胞で酸素を血管に渡すが、その時逆に二酸化炭素も血管→肺胞で受け取り、それを口から吐き出している

ざっくり言うとこんな感じ

  • 酸素:口→肺胞→血液→全身の細胞
  • 二酸化炭素:細胞→血液→肺胞→口

低酸素血症とは

ガス交換は肺胞で血液とセットで行われます。

ではSpO2は何を測定していますか?

ざっくり言うと指先の酸素濃度ですよね。

SpO2が98%あればしっかり指先まで酸素が届いていることになります。

ではSpO2が88%だったらどうでしょうか?

これは指先まで酸素が届いていないことになります。

では、なぜ指先まで酸素が届いていないのでしょうか?

以下の3パターンが考えられます

  1. そもそも、口から酸素を取り込めていないパターン
    →これは、肺が悪いわけではなく、他のところに原因があるパターンです。1つ例を挙げるならば、頭がやらていて「呼吸をしろ」という命令が届いていないパターンとか
  2. もしくは、指令も届いているし、肺胞でのガス交換も問題なくできるのだけど、酸素を取り込む筋肉が弱っていて酸素を取り込めないパターン
    →これは、例えば神経疾患で呼吸筋が侵されているパターンでしょうか
  3. 上記の肺胞でのガス交換がうまくいってないパターン
    →これは口から酸素は取り込めているけど、肺胞でうまく血液に酸素を渡せてないパターンです

私の尊敬する有名なDr.竜馬先生の本では、上記のことをもっとわかりやすく書いてくれています。

その言葉を借りるなら、竜馬先生は上記のことをこう表しています。

  1. 呼吸を調整する呼吸中枢の障害
  2. 末梢神経、呼吸筋、胸壁、気道といった肺に空気を出入りさせるために力仕事をする部分の障害
  3. ガス交換を行う肺の障害

実に端的にあらわされていますが、今回の話は3のガス交換を行う肺の障害についての話です。

ガス交換障害について

ここからが本題です。

理解を促すために、ガス交換をこうイメージしてください。

  • 肺胞:タクシー乗り場
  • 血管:血管という道路を走っているタクシー
  • 酸素:人

酸素が常時流れている血管に向かって、肺胞から飛び乗るイメージです。

酸素は何とかして血管にのる必要があるのですが、血管は現実のタクシーのように止まってはくれません。

「横まではつけるから頑張って乗ってくれ!」

こんな感じのイメージでここから読んでください。

上記のSpO288%のことについて再び思い出してほしい。

88%に下がったとき、ガス交換ではどういった障害が起こっているのかを解説していきます。

ガス交換障害としては以下の3つがあります。

  1. 拡散能低下
  2. シャント
  3. 換気血流比不均等(V/Qミスマッチ)

 

低酸素のメカニズム

Dr竜馬の病態で考える人工呼吸器管理 P22より引用

1.拡散能低下

これは、肺胞と血管の間が厚くなっているパターンで、疾患としては間質性肺炎です。

間質が厚いという事は、それだけ酸素が血管に届くのが遅くなります。

このパターンでは、血流がより早く流れる労作時には特に低酸素をきたします。

タクシーの速度は上がってるのに(労作のため早く血液が流れているため)タクシー乗り場から遠くなってるので乗り移るのが難しくなっています。

労作時に低酸素はきたしますが、逆に間質が厚くはなっていますが通れないわけではないので安静時はそれほど低酸素をきたしません。

シャント

肺胞浸潤の為、酸素が肺胞を通り抜けられず、血管が酸素を受け取れないパターンです。

疾患としてはARDSですね。

そもそも酸素を受け取れないためガス交換が行われません。

これがどういうことかというと、酸素投与をしても低酸素が改善しないという事です。

タクシーに乗る人をいくら増やしても、そもそもタクシーに乗るまでの道が洪水で通れなくなっています。

これを専門用語でシャントと呼びます。

個人的に概念はわかるけどシャントという名前についてはちょっと結び付けにくい
ばらもん

換気血流比不均等(V/Qミスマッチ)

血管の量と、酸素の量が釣り合っていないパターンです。

10の酸素に対して3の血管だと3しか酸素はガス交換されません。

数字が逆としても同じです。

このミスマッチをなくすため、正常な肺胞では低酸素性肺血管収縮という働きが起こるわけです。

  • ここはタクシー少ないからあなたたちはあっちの方に行って-。
  • お、ここタクシーの数増えてきたね。ちょっと人多くしようかー

みたいなことが肺の中で起こってるわけですね。

ばらもん

注意ポイント

これはあくまで、一つの肺胞で起こっている話です。

仮に100個肺胞があった場合の1個の話です。

肺胞100個が一気に駄目になることはそうそうないですが肺胞にも限界があります。

10個駄目になっても他でカバーできますが、90個駄目になったらさすがに他でカバーはできないですよね。

ばらもん


にほんブログ村に参加しています。

クリックしていただけると励みになります。

にほんブログ村 病気ブログ 看護・ナースへ

-呼吸器科について
-, , ,

© 2023 ばらもんblog Powered by AFFINGER5