病態
ざっくり頭蓋内構造
- 小脳テント(=テント切痕)によって上下(1階と2階)に分かれる
テント上(2階):前頭蓋窩、中頭蓋窩(左右の脳)
テント下(1階):後頭蓋窩(小脳と間脳) - 2階はさらに大脳鎌によって左右に分かれる
種類
大きく3種類に分ける。
テント切痕ヘルニアはさらに下行性ヘルニアと上行性ヘルニアに分けられる。
下行性ヘルニアはさらに鎌ヘルニアと中心型ヘルニアに分けられる。
見る参考書によって呼び方は微妙に違う。
- 帯状回ヘルニア(大脳鎌下ヘルニア)
- テント切痕ヘルニア
◆下行性ヘルニア
・鎌ヘルニア
・中心型ヘルニア
◆上行性ヘルニア - 大孔ヘルニア
名称 | 病変部 | 嵌入部 | 影響部 | 症状 |
①帯状回ヘルニア (大脳鎌下ヘルニア) |
大脳(片側) | 帯状回 | 前代脳動脈 | 対側下肢麻痺 症状に乏しい場合もある |
②中心型ヘルニア | 大脳 (両側もしくは中心) |
両側側頭葉内側部 | 間脳 | 意識障害 チェーンストークス呼吸 縮瞳 運動障害(対側両側どちらも) |
中脳 | 意識障害、中枢性過呼吸 除脳硬直、両側散瞳 対光反射消失、外眼筋麻痺 |
|||
橋 | 意識障害、縮瞳固定 四肢麻痺 |
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延髄 | 意識障害、呼吸停止、脳死 | |||
③鉤・海馬回ヘルニア | 大脳 (片側・外側) |
鉤回 海馬回 |
動眼神経 | 病測の散瞳(=アニソコ) 対光反射減弱 |
中脳 | 意識障害、中枢性過呼吸 対光反射消失、外眼筋麻痺 片側除脳硬直・散瞳 →進行すると両側 |
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橋 | 意識障害、縮瞳固定 四肢麻痺 |
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延髄 | 意識障害、呼吸停止、脳死 | |||
④小脳扁桃ヘルニア (大孔ヘルニア) (大後頭孔ヘルニア) |
後頭蓋窩 | 小脳扁桃 | 延髄 | 意識障害、呼吸停止、脳死 |
大孔周囲の髄膜 | (髄膜刺激症状による)頸部硬直 | |||
脊髄腔 | (脊髄腔閉塞による) 急性閉塞性水頭症 |
|||
⑤上行性ヘルニア | 後頭蓋窩 | 小脳上部 | 中脳 (進行すると脳幹全体に及ぶ) |
下行性ヘルニアと一緒 |
基本はヘルニアになった脳がつかさどっている部位の症状が出現する
②中心型ヘルニア
- 12脳神経でもやった神経がどこから出ているかをイメージするとよりわかりやすい
- 真上から間脳中脳と押しつぶされるイメージ
- 間脳障害時の縮瞳に関しては対光反射は見られる(見にくいけど)
- チェーンストークス呼吸も特徴的な呼吸なので呼吸パターンは理解しておく
- 中脳障害時に動眼神経障害で散瞳が出るが、真上から押しつぶされている分両側が障害されるため両側の動眼神経障害として散瞳も両側に出現する
- 延髄に近づくほど生命維持に重要な役割を担っているため進行して押しつぶされればされるほど重症になる
③鉤・海馬回ヘルニア
②と違って、左右のどちらかから押しつぶされるため、症状の出現も最初は病側から出現する
進行すると両側に症状が出てきて手遅れになるので症状を見逃さない
動眼神経障害は対側でなく病側に出現する
④小脳扁桃ヘルニア
②、③は上から来るため延髄に到達するまではまだ時間があった
この場合は最初から延髄に障害が及ぶためより危ない

治療
- 外科的治療
- 内科的(保存的)治療
外科的治療
原因にもよるが、オペで減圧できるのであれば行われる
ただし、脳幹に障害が及んでいるような場合はオペ出来ない場合もある
内科的治療
- 頭位挙上
- 安静保持
- 低体温療法
- 浸透圧利尿剤(マンニトール、グリセロール)
- 過換気療法
あえてPaCO2を下げて脳圧をコントロールする
看護師として
入院中ですでに頭蓋内病変があれば、どこにあり、今後どういったヘルニアに進行しやすいのかを考えておく
詳細不明の患者だとしても、基本は生命に直結するような疾患から除外が基本であり、麻痺や意識障害、12脳神経症状などは自ら積極的に疑って除外していく必要がある
頭蓋内病変はとくに解剖生理が入っていなければ対応に遅れが出る分野であり、看護師と言えどもCTやMRIで最低限どの辺に病変があるかくらいは見れるようになっていた方が良いと思われる
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