
ミニドクター化とは
ミニドクター化。
どちらかというと、ネガティブな言葉として知れ渡ってますよね。
具体的に何がミニドクターかは定義としてありません。
ですが、私の周りにいた人や、ネットでの反応でミニドクター化に対して嫌悪感を抱いている方達の意見としては
- 「看護師のくせに●●しないで、●●と指図しないで」
- 「看護師のくせに●●なんか読んで(調子乗ってる)」
- 「看護師なんだからここまで記録に書く必要ある?」
というような考えやニュアンスがあったように思えます。
これはつまり、ミニドクター化の定義の中には
学校で習う看護師以上の
- 医療的な知識を持っている
- 医療的な知識を持っているように見える
- 医療的な知識を持とうと努力している
上記3点のいずれかが関わっていることと個人的に定義します。
私は勉強のために研修医向けの参考書もよく買って読んでいましたし、アセスメントの場面にも
「●●の症状がみられるため今後こういったことが予測される。そのため◇◇を観察する」
みたいなことを書いていました。
特に問題がなさそうな記録に見えますが、書き方や症状の度合いによってはそうではないでしょう。
ミニドクター化に対してネガティブな方達は、上記の記録に対しても嫌悪感を持ってたと思います。
結局のところ、「より高度な医療的知識を武器に、看護師のくせに調子に乗ってるように見える」ことが嫌悪感を抱かれる原因であり、とはいえ医療的知識を使って観察したりすることは問題ないのでそこに対して文句は言えない。
となるとミニドクターという言葉を使って不快感・嫌悪感を表そうとしてるのではないか?
そして、そこにミニドクター側の看護師の意見は必要ないのです。
ミニドクター側の意見や思いは関係ないので、マウントを取るつもりがなくても、善意で教えてあげていたとしても、たとえ直接かかわっていなくても、それらの行為を「調子に乗っている」ととらえられてしまう可能性は高いです。
ここまでのことをまとめると
ミニドクター化の定義の中には
学校で習う看護師以上の
- 医療的な知識を持っている
- 医療的な知識を持っているように見える
- 医療的な知識を持とうと努力している
上記3点のいずれかが関わっていることが必要と先ほど定義しました。
それに加えて、調子に乗っているように見えることが必要である。
そして、実際に調子に乗っているか否かは重要ではなく、ミニドクター化に嫌悪感を抱いている看護師がどう思うかが重要である
とまとめられるのではないでしょうか。
実際問題、疾患の知識があるなしでマウントを取る方もいたのは事実です。
そのマウントは看護師→看護師でもそうですし、看護師→医師(特に研修医)に対しても見られたことです。
- 「どうしてこの観察してないの?●●なんだから◇◇を見るのは当たり前じゃん」
- 「なんでこんな指示なの?やっぱり研修医は・・・」
ミニドクターに対して嫌悪感を抱いている人たちが全部悪いかというとそうではないです。
そういったマウント行為を取る看護師のせいで、知識のアップデートのためにより高度な医療的知識を身に着けようと頑張っている看護師にも被害が及んでいる側面もあると思っています。
ミニドクター化は悪いことなのか
悪いことではないが、目指すのが難しい空気感はある
嫌悪感を抱かれるミニドクター化=医療敵知識+マウント(調子にのってるように見える)と定義しました。
ここからはそのマウントを外して、ミニドクターの定義を「より高度な医療的知識を身に着けている看護師」とします。
その定義にするのであれば、当たり前ですがミニドクター化は全く悪いことではないです。
ただの努力している人ですから。
むしろこの定義なら、すべての看護師がミニドクター化するべきだと思います。

「ミニドクター化は悪いことなのか」に対しての私なりの答えは出てしまいましたが、そう簡単にいかないのが看護師の世界です。
というのも、看護師の世界はどこまでいってもやはり女性社会です。
個人的意見ですが、やはり出る杭は打たれる傾向にあり、みんな横並びで進んでいくことを求められる傾向にあります。
その看護師世界では、上記のようなミニドクターの方々は異端に見えてしまいます。
一番最初に定義したミニドクターの話に戻るようですが、本人がどう思ってるのかは重要ではなく、周りからどう見られるかになってきます。
そして「みんな横並びで進んでいくことを求められる傾向」の病棟では、異端に見える存在は空気感として排除される傾向にあります。
排除されるまではいかなくても、やはりどこか違和感として扱われる傾向にあります。
せっかく努力しているのに周りの空気感や風潮によって努力ができない状況に追い込まれてしまいます。
例えば、学んだことのない疾患の患者が来た際に、新人の頃は別として、中堅そうになったときに自分から
「学びたいので受け持ちにしてください」
という事は難しくないですか?
こういった空気感は意識していなくても出来上がるもので、内科病棟にいた時は少し似た空気感を感じて仕事をしていました。
こうならないためには(こう思われないためには)日々の振る舞いやその人自身の肩書(専門や認定を取る、役職に就く等)が必要になってくるのですが、本来であれば褒められるべきことをしているのに、意味の分からないことで気を遣うのも悲しいというか馬鹿らしいなと思うこともあります。
- 「学んだことないなら自分から言った方が良いんじゃない?」
- 「この処置明日あるけど、あなたやったことないんでしょ。どうするべきなの?」
みたいな

空気感がもたらす弊害
こういった空気感というのは、良いことも悪いことも伝搬してしまいます。
自分よりも上の人たちがそういった空気感に染まるのは良いんです。
抵抗するにしても、自分もそれに染まるにしても。
経験年数がある人はある程度自己責任だと思うので。
ただ、その空気感に染まった後輩が出来上がってしまうのは大きな損失だと思います。
なんだかんだで、看護師になろうとしている方たちは優しい人が多いと思います。
良くも悪くも、看護師になりたての頃は純粋なんです。
看護師の格言的なものとして、こういった言葉を聴いたことがないですか?
- 看護師は良い人から辞めていく
- 最初は優しくてもだんだんそれに染まっていく
これはその通りだと思う。
悪気がなくても、そういった空気感の病棟はそういった人たちに作られてしまうし、ミニドクターの話でも伝えたように、「看護師の世界は横並びを求められる」傾向になりますから。
自分が異端に見える存在になると、排除されてしまうので、そういった空気感に染まっていくことが一種の防衛になるのではないでしょうか。
そして、そうなれない人が辞めていく。
では、自分もそういった空気感に染まってしまうのか。
もちろんそうではないですし、少なくとも自分の手が届く範囲の後輩は守っていきたいです。
繰り返しになりますが、病棟全体や上の世代の価値観を変えることは難しいと思います。
だからこそ私自身は、自分のプリセプティーや一部の後輩に対しては、最低限悪い風習はしないように伝えていました。
「自分だけでなく、あとから入ってくる後輩のためにもそうしないといけないんだよ」と。
もちろんそれ自体が、マウントを取っていると思われないように努力しましたしその部分はかなり気を使いましたが。
こういったことができたのは、自分が男で女性看護師の集団から少し外れた位置にいたからできたという側面もあります。
結局ミニドクター化に対して言いたいこと
言語化能力が低いのでうまく伝わったのか分かりませんが、少なくとも努力している方を馬鹿にする風潮はよくないですし、ミニドクターの中に含まれている馬鹿にするニュアンスもなくなればいいと思っています。
最終的には病棟の空気感の話になりましたが、せめて後輩は守ってもらいたい。
じゃないといつまでたっても、「お局」という言葉はなくならないし、最悪の空気感で熟成された看護師しか残らなくなってしまう。
もし今現在、ミニドクター的なことで悩んでいる方がいれば言いたい。
あなたはまったく間違っていない。
看護師の世界で反感なく伝えたり働いたりすることは難しいと思いますが、ぜひ今後看護師になるような方たちを変えていけるように頑張ってもらいたいです。
もちろんマウントはなしで。
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