収縮期と拡張期の違いに加えて、前負荷後負荷というワードも一緒に勉強すると理解が深まります。
何度も言ってますが、これらの知識が身についていると臨床上でアセスメントするのが楽しくなります。

収縮期と拡張期
収縮期と拡張期の血圧を考えるときは
- 血液を心臓からおしだす
- 血液を心臓に引き込む
この2点で考える
また、収縮期と拡張期の分類が理解出来たら
- 右室の収縮期と拡張期
- 左室の収縮期と拡張期
このように左右の心臓で分けて理解を深める
また、心房と心室でもそれぞれ収縮期と拡張期がある
心臓の解剖も頭に入れながら理解すると、他の(特に心臓関係の)疾患で病態生理に役立つ
- 右:肺だけに血液を送る
- 左:肺以外の全身に血液を送る
左右の心臓を比べた時により重要になるのは左の心臓
送り出す先が違い、左の方がより強く押し出さなかければいけないので、筋肉的な意味で大きく(強く・厚く)なっている
右の心臓
拡張期
右心室が拡張、右心房は収縮してから流れてくる血液を右心室内にためる時期
肺動脈弁はとじて三尖弁が開いている
この時の血液は、全身を回ってきた血液なので、二酸化炭素をたくさん持った静脈血である
普段採血で採取している血液もこの静脈血。

収縮期
右心室が収縮して、右心室内に溜まった血液を肺に送り出す時期
同時に次に備えて右心房は拡張してその前の血管(上大静脈下大静脈)から血液を引き込んでいる
三尖弁はとじて肺動脈弁は開いている
この時の血液も肺でガス交換していないので静脈血である
左の心臓
拡張期
左心室が拡張、左心房は収縮してから流れてくる血液を左心室内にためる時期
大動脈弁はとじて僧帽弁が開いている
この時の血液は、肺を通ってガス交換された血液なので、酸素をたくさん持った動脈血である
- 僧帽弁が狭くなり左心房から左心室に十分に血液を送れない(送るのに力が必要な)のが僧帽弁狭窄症(MS)
- 大動脈弁がぴったりと閉じれなくて、大動脈から左心室に血液が逆流してくるのが大動脈弁閉鎖不全症(AR)
収縮期
左心室が収縮して、左心室内に溜まった血液を肺に送り出す時期
同時に次に備えて左心房は拡張してその前の血管(肺動脈)から血液を引き込んでいる
僧房弁はとじて大動脈弁は開いている
- 僧帽弁がぴったりと閉じれなくて、左心室から左心房に血液を一部送り出してしまうのが僧帽弁閉鎖不全症(MR)
- 大動脈弁が狭くなり左心室から大動脈に十分に血液を送れない(送るのに力が必要な)のが大動脈弁狭窄症(AS)
まとめると
- 収縮期:三尖弁僧帽弁が閉じて肺動脈弁大動脈弁が開いている
- 拡張期:肺動脈弁大動脈弁が閉じて三尖弁僧帽弁が開いている
他血圧のあれこれ
収縮期血圧(sBP)
- 後負荷・動脈性出血リスクを反映
- 収縮期が高い=後負荷が高く、出血しやすい・出血時より重症化しやすい
- 看護師の傾向として、この収縮期血圧に目が行きがちだが、下にある平均血圧の方が重要
拡張期血圧(dBP)
- 心臓の冠動脈への血流を反映している
- 拡張期は年齢が高くなるにつれて低くなりがち
平均血圧(MAP)
- (収縮期血圧 -拡張期血圧)÷3 +拡張期血圧で求められる
- 心臓以外の臓器灌流を反映
- 臨床上非常に重要な数値ですが、看護師の傾向として収縮期血圧ばかりに目が行きがち
- 重症患者においては、収縮期血圧以上に平均血圧が重要で、血圧コントロールも収縮期血圧よりも平均血圧で行うべき
にほんブログ村に参加しています。
クリックしていただけると励みになります。