基礎医学について

【基礎医学】抗がん剤について2【副作用】

2021年10月11日

ばらもん

骨髄抑制について

抗がん剤の副作用

白血球赤血球血小板は骨髄で作られる

抗がん剤投与後10日~14日あたりでピークを迎える副作用の一種

抗がん剤によって、骨髄での血を作る働きが阻害された結果下記の3種類の低下が起こる

  • 白血球(好中球)
  • 赤血球
  • 血小板

これらが低下して、それぞれ合わせた症状が出現する

副作用の中でも特に重要で、この時期をしっかりと乗り越えることが重要

もちろん骨髄抑制で下がった上記の採血データは、時期が過ぎれば元の値に戻ってくる。

採血データは戻ってくるが、繰り返し抗がん剤を投与することで戻りが遅くなる場合もある。

抗がん剤は何度も繰り返し投与することが多いので、それによって骨髄が疲弊して戻りが遅くなる。

採血データが落ちているところで次の抗がん剤を投与すると余計に採血データは落ちるため、普通は採血データがしっかり戻らないと抗がん剤投与を遅らせたり、中止したり、薬剤の量を減らしたりして対応することになる。

ばらもん

強い抗がん剤を使えばそれだけ強く出る

抗がん剤を繰り返すことで、骨髄の働きも疲弊してくるため、繰り返せば繰り返すほど強く出やすい

「強く骨髄抑制出る=採血上の数字が下がる」と思ってもらえばいいです。

上記の図には赤血球の文字が見えません。

これは白血球と血小板に比べて採血データが低下しにくいため載せてないのだと思います。

なぜ低下しにくいかというと、赤血球の寿命が120日と他2つに比べて長いからです。

抗がん剤は、細胞分裂・増殖が活発な細胞ほど強く効きます。

抗がん剤の脱毛が髪の毛に起きやすい理由も同様で髪の毛が他の体毛に比べて細胞分裂が活発だからです。

ばらもん

血液の種類と働きと対策

英語
(呼び名)
働き 低下による症状 対応
白血球 WBC
(ワイセ)
免役をつかさどる 感染しやすい
口内炎・発熱・カビ等々
無菌室に入る
面会や外出制限
感染への早期対応
G-CSF投与
好中球 Nutro 白血球の一部
働きは一緒と考えてよい
赤血球 RBC 酸素の運搬 貧血症状 輸血
血小板 Plt
(プレート)
血液凝固 出血傾向 輸血

白血球(と好中球)について

重要な白血球(好中球)減少による副作用
発熱性好中球減少症(FN)については別ページで解説

免役をつかさどるため、低下することで感染しやすくなります。

普通の人で有れば、38度以上熱が出ても解熱剤を飲んでゆっくりしていれば自分の治癒力で回復します。

しかし、白血球が低下している人は、細菌と戦う力がないため外からの手助け(G-CSF、抗生剤)がないと負けてしまいます。

負けるとどうなるかというと普通に死にます
「抗ガン剤で免役低下→肺炎・敗血症等々で死亡」
元々のがんではなく、がんの治療のために行った抗がん剤によって免役が低下することで感染して死亡というパターンです。
もちろんがんに対して抗ガン剤を行わなければどちらにしても死んでしまうのですが。
「抗ガン剤で免役低下→肺炎・敗血症等々で死亡」にならないように特に対策をしていく必要があります。

HIVとAIDSの所でも出てきますが普通の人だったら負けない菌(感染しない菌)でも重症化してしまいます。

この菌に関しては、人からもらう菌もですが、元々自分が持っている常在菌にも負けて感染してしまう(日和見感染)ことが有るため、どれだけ気を付けても完璧に防ぐことは難しいかもしれません。

当然ですが医療者の手を介して感染するリスクも非常に高いため、マスクは当たり前ですがいつも以上に手指衛生を心掛ける必要があります。

対策として

  • 面会外出禁止
    他の人からうつされないため
  • 無菌室に入る
    他の人&その辺の空気中の菌に感染しないため
  • 患者指導でで洗いうがいをしてもらう
  • G-CSF投与
    白血球は輸血では上げることができないため
  • 感染への早期対応
    熱が出たらすぐに血液培養と抗生剤を開始
  • 予防内服
    ニューモシスチス肺炎予防でST合剤
    抗ウイルス薬としてアシクロビルなど

骨髄抑制の時期は家族との面会もできないので、孤独になりがちで精神的なサポートも必要

あと地味につらいのが点滴やCVがすぐに感染を起こしてしまう事です。

抗がん剤を繰り返す→血管がなくなる

このパターンが多いためCVを入れることも多いのですが、免疫が低下しているためすぐに感染を起こして抜去になりやすいです。

ばらもん

赤血球について

酸素の運搬をつかさどるため貧血になります。

  • 易疲労感
  • 動悸息切れ
  • めまい
  • 食慾不振

対策としてはRBC輸血ですね。

血小板について

凝固をつかさどるため出血傾向になります。

採血後もしっかり押さえないと痣になって怒られます。

これで怖いのが頭の出血です。

対策としては輸血に加えて、患者にも転倒しないように指導する必要があります。

外観としても痣が目立ったり、足に天井出血がみられたりしやすいです。

輸血に関する小話

赤血球輸血と血症版輸血で、アレルギー症状が出やすいのはどちらかわかりますか?
正解は血症版の方です。
理由としては、赤血球は一人の献血で作れるのですが、血小板は一つの輸血を作るのに10人くらいの献血が必要です。
その証拠に、1回の輸血で投与する量としては赤血球は2単位、血症版は10単位です。
いろんな人の血が集まってる分アレルギー症状も出やすいので注意が必要です。

看護師として

骨髄抑制が起きる時期を把握して、患者指導を行うと共に自分が原因で感染させないようにする。

その時期は面会禁止になることもあり精神的なサポートも忘れない。


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