前提知識として古民家とは
古民家の構造に関しては書くと長くなるので別の記事で紹介する予定です。→2021./10/09.古民家の構造について記載しました。ページ下部にリンクあり。
ですが多少の知識がないと理解しにくくなってしまうので簡単に書いておきます。
古民家は現代の家とは構造からして違います。
大雑把に言うと以下のようになります。
- 古民家=梁と柱で支える柔構造
- 現代家=壁や基礎で支える剛構造
古民家を知らない人から見れば、壁がないので古民家はかなりスカスカな構造に見えてしまいます。
ですが、それでも古民家としては成り立っているのです。
その柔構造に関してはまだしっかりとは解明されていないみたいで、現在色々研究が進められているようです。
これに関してはプロの方が詳しく解説もしてくれているので、そちらでも確認してもらえると説得力が増すと思います。
参考リンク
何が言いたいかというと、古民家はそれだけ難しい構造であり、それを触るにはそれなりの知識が必要という事です。
やっぱり簡単には収まらなかった
もう少し詳しく書くので興味ある人はどうぞ
よく言われる古民家と現代の家の違いとして地震に対する考え方の違いが挙げられます。
- 古民家=免震=地震に対して抗わず地震の力を逃がす感じ
- 現代家=耐震=地震に対して対抗し地震の力に耐える感じ
考え方の違いのため、どちらがいいという話ではないです。
ですが、この古民家の知識がないと

昔の家で地震も心配でね。
あー、やっぱり耐震診断の結果は悪いですね・・・
家も古いし地震が来た時これだと危ないですよ。


プロの方からみてどうするのが良いんですかね?
小さいころから住んでるし愛着もあるんですけど
耐震診断からもわかるように地震が来た時危ないですよ。
弊社ではリフォームもしてるので愛着があるなら耐震補強と一緒に建て替えもできますよ!

というようなやりとりが繰り広げられ、結果としてまだまだ現役で生きることができる古民家が
- 古民家→現代の性能を追加した古民家✖
- 古民家→古民家風の現代の家○
となってしまうのです。
もっと悪いとまだまだ生きられる古民家を取り壊して今風の家に建て替えられてしまうこともあるのです。
おそらく、この業者も100%の悪意で言っているわけではないと思います。
これも結局は、古民家について学んでいないので、古民家に耐震診断は意味がないことを知らないんですよ。
文字からもわかるように現代の地震に対する診断は耐震診断であり、古民家の構造である免震に対してはうまく評価ができません。
とうぜん、免震の古民家に耐震診断をすれば耐震力がないと判断されます。
そうすると、その結果から上記のように建て替えや現代風の家に仕上がってしまうのです。
現代の家が悪いと言ってるのではありません。考え方の違いですから。
私は、古来より伝統として受け継がれてきて、まだまだ生きることができる古民家が、知らないだけで死んでいくのが悔しいのです。

こう思われる方もいるかと思いますが、事実として江戸時代以前に建てられた寺は今もたってますし、実際古民家もいまだ存続しています。
ちょっとこれ以上書くと収まりがつかないのでこれくらいにします。
個人的な思いとしてYouTubeのDIYに対しても思うことが有るので別の機会で書きます。
古民家に強い工務店の探し方
結局なぜ古民家に強い工務店が必要?
【古民家再生4】でこんなこと言いました。
古民家の扱いは難しい
大工ならどんな家も直せると私たちは思いがちですが、実際はそうではありません。
古民家を(まともに)直すことができるのは、力のある大工だけであり、それらに力をいれているという事はそれだけ古民家に精通していることになります。
まともに、というのは古民家を古民家のままリノベーションできるかどうかという事です。
この話をすると長くなるのでまた別記事で紹介しますが、すべての大工や工務店が扱えるわけではないという事です。
古民家に精通した会社は、古民家再生協会のHPに行けば全国の支部が載っているので、そちらで教えてもらえば一発でわかります。
看護師の方向けにブログも書いてるので、上記の例を看護師で言うならば
- 人工呼吸器やECMO(エクモ)は扱いが難しくそれ相応の技術や経験が必要
- 看護師全員が人工呼吸器やECMO(エクモ)を使えるわけではない
みたいな感じになります。
コロナの影響で、テレビやTwitterでもさんざん上記の話題出てきましたよね。
古民家に話を戻します。
古民家に強い工務店とは、古民家を古民家のまま触れる工務店であると私は考えます。
これは、すでに述べていますが、古民家風の現代の家にリフォームするのではなく、古民家の構造のままリフォームすることができる工務店という事です。
そもそも建築を学んでいるプロが、なぜ古民家を触れないかというと古民家というものを学んでいないからという理由になります。

- 古民家の絶対数も少ない
- 古民家を古民家のままリフォームする機会もそこまでない
- (だいぶ省略した言い方になるが)古民家は現代の法律上普通に建築できない建物
こういった「特殊な建物」に分類されてしまいます。
それに対して現代の家は「普通の建物」と言えます。
家を建てる際に、そういった「普通の家」が9割なので、わざわざ古民家という「特殊な建物」を学ぶ必要がないのです。

職場に出てから実際の死にそうな患者を目の前にして学びます。

これらのことからも、「特殊な建物である古民家」は「特殊な工務店」に任せるのが一番いいとなってきます。
そしてここでいう「特殊な工務店」とは古民家に強いと自信を持っている工務店になるわけです。
どうやって探して選別する?
- 古民家再生協会に所属している工務店
- トップページに「古民家のことを掲載している」工務店
1.古民家再生協会に所属している工務店
そもそも工務店にとって古民家というのはリスク満載なわけです。
- 構造が特殊な為相応の技術が必要
- 特殊ゆえに見積もりも個別性が激しく難しい
- 構造以前に築年数が下手すれば100年を超えるためそもそもガタが来ている
これらのことからも、工務店にとっては建て替えを提案したり、古民家風の現代の家に作り替えた方がやりやすいですし、後々のクレームに繋がるリスクも減らせるわけです。
それでもあえて、古民家を残すために活動しているという事は、それだけの自信や信念があるわけです。
結果として、【古民家再生4】でも紹介しましたが、この協会に参加しているという事は一定ラインの評価基準にはなると思います。
もちろん工務店によって得手不得手はありますが、参加していない中から選ぶよりは安パイでしょう。
古民家再生協会に連絡すれば自分の県でどの工務店がそうか教えてくれますよ。
2.トップページに「古民家のことを掲載している」工務店
これも1.と似ていると言えば似てますが、トップページにわざわざリスクのある(手間のかかる)古民家のことを載せているという事はそれだけ自信や信念があるという事ですね。
注意ポイント
実は全国展開の工務店(リフォーム会社)でも古民家のリフォームはやっています。
検索するとすぐに出てくると思います。
ただし、ここまで書いてきた私の言いたいことを読み取ってくれた人ならわかると思いますが
それはあくまで古民家風の現代の家にリフォームしただけです。
上記の2点である程度の選別はできると思います。
中にはこういったことを書いていなくても(昔ながらの工務店とかは特に)古民家に強い工務店もあると思います。
上記2点はあくまでインターネット上での選別方法です。
本当に良い古民家に出会いたいのであれば、インターネット上での選別に加えて、自分の足で現地の口コミを聞いたり足で探したりするのも必要だと思います。
本当に気になる工務店を見つけたらぜひ古民家のことを聞いてみてください。
- どうやって直していくつもりか?
- 石場建てのままリフォームできるか?
- 伝統建築でリフォームできるか?
その為にはある程度こちら側も古民家の知識が必要です。
それらの知識を少しでも得られるように、今後もこのブログで適時更新していこうと思います。
少しでも日本の伝統工法が残ってくれるように。
古民家の構造について記載しました。
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