疥癬とは?
- ヒゼンダニが人の皮膚に寄生して起こる病気で通常疥癬と角化型疥癬(いわゆるノルウェー疥癬)に分けられる
- ヒトからヒトに感染する
- 感染者には疥癬トンネルといった特徴的な線状の皮疹がみられる
- 突然発症した場合は必ず持ち込んだものがいるので、施設への入所時や病院への入院時などは皮膚状態の観察をして、疑わしい場合は早期の対応(皮膚科受診、職員への周知、接触感染予防等)行う
- ダニが住み着いた後1か月程度の潜伏期間がある
- 免役低下患者は特に注意が必要
- 治療には飲み薬と塗り薬で対応する
- 通常疥癬の場合、短時間の接触では移らない
- 基本的には患者と接触ごとに手洗いをしっかり行って他の人に移さないようにしていく
違いについて
通常疥癬
- 布団を並べて寝ない
- 長時間肌と肌を接触させない
→短時間の接触では移らない - 衣類や寝具は消毒の必要はないが共用は避ける
角化型疥癬
上記に加えて
- 衣類やシーツは毎日交換+熱湯消毒が必要
→50℃以上のお湯に10分以上付けた後に洗濯する - 毎日掃除機で皮膚から剥がれ落ちたものを掃除する
- 患者自身も毎日の入浴が必要
- 場合によっては殺虫剤を部屋にかける
通常疥癬 | 角化型疥癬 | |
ダニの数 | 数十匹程度 | 100万~200万 |
感染力 | 弱い | 強い |
経路 | 短時間の接触では移らない | 短時間の接触でも移る |
症状の部位 | 顔から下 | 全身 |
患者の隔離 | 不要 | 個室隔離が必要 |
予防策 | 標準予防策 | 予防衣着用 |
入浴 | 制限なし | 最後に入浴 入浴後しっかりと洗い流し脱衣所は掃除機をかける |
掃除 | 通常通り | 毎日しっかりと掃除機で掃除する 状況に応じて粘着テープなども併用 |
共用部品 | なるべく共用しない 無理な場合は使用毎に清拭 |
絶対共用しない |
洗濯 | 通常通り | 50℃のお湯に10分付けた後に洗濯する 無理な場合は乾燥機を使用する |
診断
- 皮膚を採取して顕微鏡でダニの卵や成虫が検出されたら確定
- 必ずしも検出されるわけではないので、臨床症状や養育環境(めっちゃ汚い家に住んでるとか)で診断することもある
治療
- 外用薬のフェノトリン(製品名スミスリンローション)を塗布
- 時にイベルメクチン(製品名ストロメクトール錠)の内服
外用薬
- 上記の外用薬は治療1日目と7日目に首から下にくまなく塗る
*治療2日目から6日目は塗らない - 全身に塗布した外用薬は12時間経過後にしっかりと洗い流す
- 治療2日目から6日目は掻痒感を抑えるためステロイド軟こうを塗布して対応
内服薬
- 角化型疥癬や介護施設での感染等よりハイリスク患者に対して主に使用される
- こちらも外用薬と同様治療1日目と7日目に内服する
- 内服は空腹時に行う
看護師として
- 新しい患者や利用者が来た際は常に疥癬のリスクを考え皮膚状態の観察を行う必要がある
- ヒトからヒトへの感染経路をたどるため、周囲の職員への指導も実施して広げないようにしていく必要がある
- 潜伏期間があるため、発症した患者や利用者がいる場合は早期対応に加えて、発症リスクのあるもののリストアップと対策を早急に協議して対応する必要がある
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