病態
- HIV=ウイルスのこと(ヒト免疫不全ウイルス)
- AIDS=HIVウイルスによって免役低下が起こり病気を発症した状態
- HIVがCD4陽性リンパ球(ヘルパーT細胞)に感染して、長期間の潜伏を得て徐々に破壊し減少させ、最終的に細胞性免疫不全を引き起こす
- 採血でCD4の数を確認して、AIDS未発症でも500を切ったら治療開始を推奨している
(抗HIV治療ガイドライン2017より) - 世界的には減少傾向だが日本は横ばい~増加傾向とも言われている
感染後経過
- 急性期
- 慢性期(無症状期)
- AIDS期
1.急性期
HIV感染後、多くの患者は2~6週間後に急性HIV症状として以下が現れる
多くは1~3週間程度で自然に軽快する
この時期はウイルス量も多く、感染してから平均9週後に採血でも陽性になる
- 発熱、頭痛
- 嘔吐下痢
- 皮膚発疹
- 倦怠感関節痛
- リンパ節腫脹

慢性期(無症状期)
数年~10年くらいは無症状期間が続く
無治療では徐々に体内でウイルスが増殖&CD4細胞の低下が進行する
HIVによる免役低下に起因する症状として以下が出現する
- 長期間続く発熱
- 帯状疱疹
- 口腔内白苔やカンジダ症
- 神経症状や体重減少
AIDS期
さらに免役低下が進行して、AIDSの指標疾患を発症しうる
これらはあくまで一部
- ニューモシスチス肺炎(最も高頻度)
- 食道カンジダ症
- 結核
- 他多数あり
感染経路
- 性行為
- 血液暴露
- 母子感染
性行為感染
- 一番多い
- 特に男性同士の肛門を使用した性行為
血液暴露感染
- 針刺し
- 輸血
- 針刺し事故後も針刺しした医療者が薬を早期内服をすること
- 入院している患者はしっかりとHIV薬を内服していることでHIVウイルスが抑えられていること
これらのことからも、医療機関において針刺しによる感染はかなり低くなっている
しっかりと感染予防として手袋をすること、針刺しをしてしまっても落ち着いて適切なプロトコルに従って対処することで感染する確率はかなり下がります

母子感染
- 帝王切開する
- 完全ミルクで育てるあたりが対策
診断
採血で陽性になるには感染後6~12週間たつ必要がある
そのため、感染した可能性がある行為から時間がたって再度検査する必要がある
例えば、「夫(妻)が海外の風俗でもらってきた」パターンでは、聞いても教えてくれない場合もあります。
とはいえ、結婚している方が感染した場合、必ず家族(パートナー、子ども)に対してもHIVの検査は必要になります。
必要性をしっかりと説明したうえで、治療に協力してもらう必要があります。

治療
- 3剤以上の強力な多剤併用療法(ART)で治療
- 決まった量を決まった時間に確実に内服する必要があり、治療も高額となることが多い
→高額療養費制度の説明・案内 - 95%以上の服薬率が必要と言われている
内服治療のおかげで、生存率や長期間進行阻止が可能となった
治療費について
HIV患者はずっと薬を飲み続けます。
そしてその薬が非常に高い。
おそらく、毎月の医療費は20万はかかる。
自己負担も毎月5万~8万くらいにはなるでしょう。
高額療養費制度を使用したとしてもきついものがあるので、特別措置があります。
それが、諸条件はありますが身体障碍者手帳の交付です。
これを使えば、月高くても1万円になります。
注意ポイント
この医療費の軽減が適応されるのはHIVによるものだけです。
他の病気でかかった場合はおそらく適応されません。
看護師として
とにもかくにもしっかりと話してもらう事が必要
また、治療を開始したら確実絶対な内服治療が必要になるため患者指導を確実に行う
HIV発症者に家族やパートナーがいた場合は、その人も治療の対象となるためサポートを行う

針刺しや血液暴露時
お伝えした通り、治療薬の進化によって針刺しや血液暴露での感染率もかなり低くなっています。
ただし、汚染したと思われる事象から決まった時間以内に薬を飲む必要があります。
仮にそういった事象に自分がなったとしたら、絶対に絶対に隠したりせず上司と感染の専門医にかかりましょう。
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